先日、また、あまりにも痛ましく、あまりにも悲しい児童虐待の事件が起きてしまいました。
正直、私は、詳しい経緯を読んでしまうと胸が張り裂けそうになるので、できるだけその事件の詳細な記事は読まないようにしてしまっています。
子どもを持つ親として、これほど悲しい事件はほかにありません。
愛する親に抵抗することもできずに命を奪われてしまうのです。
こういった事件が起こるたびに対策が話し合われ、法改正や児童相談所の人員を増員するなどの対策がとられてきました。
しかし、同様の事件は後を絶ちません。
今回の事件の後も、虐待に対する厳罰化、人員のさらなる増員、警察との連携、強制立入の強化、などたくさんの対策が提言されています。
何年も前から言われていることも多く、法改正が行われても全く機能していないものも多いことがうかがえます。
救える命を確実に救う、虐待に対する抑止力を強化する、こういった対策は本当に必要だと思いますし、すぐにでも実行に移すことが重要だと思います。
ただ、私はこういった対策だけで虐待を無くせるかというと難しいと思います。
虐待のみならず、日本の行政全般に言えることだと思うのですが、これらの対策はすべてがいわゆる「対症療法」なのです。
虐待の疑いがある、では児童相談所が確認、状況によっては保護、危険な状況なら警察と連携、事件であれば親を逮捕、といった具合に虐待が起きたことを想定して、それに対応するための対策ばかりなのです。
いじめの問題にしてもそうではないでしょうか。
いじめが起きた場合の対策ばかりが表立って話し合われています。
何度も言いますが、虐待の問題にしてもいじめの問題しても、起きてしまったときの対応、これはこれで絶対に必要なことなので、継続して議論し有効な対策を打ち出してほしいと思います。
その上で、同時並行でしっかり話し合ってもらいたいのが、「原因療法」です。
つまり、「虐待を起こさないための対策」ということです。
虐待が起きる原因は様々あると思いますが、その原因を根本的に解決することも考えなければなりません。
なぜなら、対症療法が一過性のものであるのに対して、原因療法は永続的なものだからです。
病気や健康の例でいえば、不健康な生活をしている人が、病気になるたびに病院で治療を受けて症状を改善してもらうのが対症療法、それに対して、病気になりやすい原因となっている生活習慣を改善し、そもそも病気にならないようにするのが原因療法ということです。
対症療法では、一時的に症状が改善したとしても、不健康な生活を送る限り病気になるリスクは高いままですし、病気になるたびにコストがかかります。
原因療法ならば、病気になること自体が少なくなるわけですし、当然無駄なコストもかからなくなるわけです。
また、対症療法は症状を抑え込む対策なので、事態をより悪化させる恐れもあります。
トランプ大統領と金正恩委員長の歴史的会談が大きなニュースになりましたが、これは、対症療法から原因療法への切り替えが成功した良い例だと私は考えています。
アメリカは、厳しい経済制裁や軍事力を誇示することで北朝鮮の行動を抑制しようとしてきましたが、それに対し北朝鮮は、ミサイルの発射などの挑発行為をくり返し対抗してきました。
もし、アメリカが経済制裁や軍事力を用いて北朝鮮を抑え込もうとし続けていたら、つまり対症療法を続けていたら、一時的には北朝鮮が従ったかもしれませんが、どこかのタイミングで爆発していたかもしれません。
しかし、今回二人が顔を合わせて会談したことで、お互いを知り、尊重し合うことができ、対等の立場に立つことができたのです。
人は、上からの物言いには反発しようとしますが、自分を尊重してくれる人の意見には素直に応じたくなるものです。
まさにこれは、アメリカと北朝鮮の対立という根本的な原因を解決する原因療法に転じたということではないでしょうか。
話がややそれましたが、では、「虐待」の根本的な原因はどこにあるのでしょうか。
その原因が分からなければ、原因療法の方法も考えることができません。
どこに原因があり、どうすれば改善することができるのか。
ここからは、あくまでも私が考える児童虐待の原因と対策です。
「それは違う」という意見も多々あるかと思いますが、参考程度に読んでいただければ幸いです。
私が考える児童虐待の根本的原因は「無知」と「不幸」です。
まずは、「無知」についてですが、これは親になるとために必要な知識が絶対的に足りないということです。
結婚、妊娠、出産、子育て、この流れの中で何が起き、何が大変で、それをどう乗り越えていけばよいのか、夫と妻の関係、父親と母親は子育てでどう協力していけばよいのか・・・、知っておくべきことが山ほどあるのに、それを事前に知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。
当たり前なんです。
日本ではこういったことは教育されていないのですから。
せいぜい中学校や高校の保健体育、家庭科などの授業で本当に簡単に教えられるだけです。
もちろん、学校で習うに越したことはありませんが、現実味が全くない状況でさらっと教えられた知識はすぐに忘れてしまいます。
だから、実際に結婚や子育てで様々な壁にぶつかった夫婦は、その壁をどう乗り越えていいかが分からず、見通しの立たない不安な状況の中を手探りで進むしかないのです。
その中で、経験し、学び、自分たちなりの乗り越え方を見つけていく人もいるでしょう。
しかし、そうではない人もたくさんいるのだと思います。
壁にぶつかり、乗り越え方が分からず、打ちのめされ、心を折られる。
そして、そのたまったストレスが爆発する・・・。
こうして、離婚や児童虐待などは引き起こされるのではないでしょうか。
で、どうすればよいのか。
私は、大人になった段階、子どもができた段階、それぞれのステージで「大人の新しい学び」が必要だと考えています。
結婚するってどういうことなのか、夫婦がうまくやっていくためには何が必要なのか、そういうことを学べる場が必要です。
親になるってどういうことなのか、子育てってどれだけ大変で、どれだけ喜びに満ちあふれているものなのか、子どもを健やかに育むために夫婦はどうあるべきなのか、そういうことを学べる場が必要です。
今の日本社会では、こういったことを各自が独学で学ぶしかない状況です。
出産前にパパママ教室などもありますが、参加しているのはほとんどがママだったり、内容も最低限必要な実用的なもののみで、それほど密度の濃いものではありません。
私は、この「大人の新しい学び」は義務教育にするべきだとさえ考えています。
期間は、3日間でもいいでしょう。
その3日間は、必ず会社を休んで参加しなければならない。
会社もそれを当然とする。
そうして日本社会全体が結婚や子育てに対する意識を高めていけば、児童虐待は必ず減らしていけると私は考えています。
すべては、社会全体が本気になって「児童虐待ゼロ」を目指す決断をできるかどうかだと思います。
子どもを虐待した親を非難したり、刑罰を重くすることは簡単です。
もちろん、そのことを批判するつもりはありません。
私だって、虐待によって何の罪もない無抵抗の子どもの命を奪うという行為は、到底受け入れられないし、これ以上ない強い怒りを覚えます。
でも、それだけでは虐待を無くすことはできません。
根本的な原因を解決する必要があるんです。
でも、「それは理想論だ。」という方もたくさんいらっしゃるでしょう。
私は、自分の意見に対して「それは理想論だよ。」と否定された時に、必ず返す言葉があります。
「よかった。『それが理想である』という点で、私とあなたは意見が一致している仲間だ。
あとはその理想をどう実現するか一緒に考えてほしい。」
そして、私が大好きでいつも胸にとめているビル・ゲイツ氏の言葉も紹介します。
「人類史上の進歩のほとんどは、不可能を受け入れなかった人々によって達成された。」
理想論で終わらせず、理想を現実にできるよう、私にできることをしっかり考え、行動していきたいと思います。
だいぶ長文になってしいましたので、私が考えるもう一つの虐待の原因「不幸」については、次回の記事にしたいと思います。
この「不幸」は、すべての「正義に反する行動」の原因でもあると私は考えています。
では、今日はこのへんで。
みなさん、お休みなさい。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
よろしければ、ランキングの応援もよろしくお願いいたします。

子育てパパランキング
それから、新しく別のブログを開設してみましたので、
ぜひ、こちらも読んでみてください。
『夢追う塾長の独り言』
https://ameblo.jp/manabiya-net/